2023年2月。
千草竹原集落にある空き家となった古民家を“ゆっくりと滞在できるところ”へと変えていく「竹原リノベーションプロジェクト」が発足し、1年10カ月が経過しました。
2021年度に企画・構想から始まり、残置物の撤去や解体が主に進み、域学連携事業で地域に訪れる学生の力を借りて、プロジェクトが進んでいきました。
2021年11月に水回りの着工が進み、第1期工事を完了。
第1期工事(2021年度施工範囲)の様子は、下記のプロジェクト記事をご覧ください。
第2期リノベーションをスタート
2022年度の第2期工事は、水回りに隣接する区画から少しずつ着工がスタートします。
春は、工事着工範囲と予算の調整の会議を重ねました。
着工範囲が決まると、優先区画から順に解体を始めました。
天井には、長年積もった塵やほこりがたくさん。
ドロドロになりながらの作業です。
学生の力を借りての解体作業
洲本市と域学連携事業で地域に長年関わっていただいている龍谷大学のみなさんには、今年度もお世話になりました。
夏の暑い時期だったので、汗だくになりながら一緒に家財の撤去と床の解体作業を進めていきました。
また、龍谷大学を卒業した後、社会人になってからも地域に訪れてくれる方も。
個別に連絡をもらい、一緒に古民家の解体作業をしながら「社会に揉まれています」や「こんなことがやりたんですが…」のような話も。
当時、域学連携事業で地域に関わってくれた学生が、社会人にステージが上がってからも訪れてくれることはとても嬉しいです。
そして地域に訪れて、現地の住民や新たな活動をしている人々に触れ、活力がもらえたなら、地域にとっても嬉しいことですね。
(解体場所の壁や床を壊してストレス発散していってくれました…笑)
続く解体作業と解体物の行方
第2期工事では、施工範囲が広いため、解体範囲も広いです。
そのため、解体作業そのものもかなり大変。
フィールドワークやイベントで訪れる学生に手伝ってもらえるのは、とても助かります。
ただ、古民家のリノベーションは解体するだけで終わりません。
床や天井などから解体した端材なども撤去していく必要があります。
そう。これがけっこう大変なんです。
解体した端材などの行方はどうなるかというと…廃棄するわけではありません。
●整理して使える古材として再利用(奥の倉庫へ)
●釘や粘着剤を取り除き、薪として再利用
「捨てればゴミ、分ければ資源」ということで、コツコツ使えるようにしています。
薪は、集落でのテントサウナやアウトドアイベントでの資材として活用します。
(左)テントサウナの薪ストーブとして利用
(右)集落内にあるキャンプ場HP用の写真素材の撮影時に使用
ここからリノベーション
概ね解体が進んでいくと、作業可能な区画から新しい資材でリノベーションを始めます。
古民家には自然に近い湾曲した太い梁が天井付近にあります。
●「味」として生かすために、少し天井から出してみよう
●床の高さはこれくらいの仕上がりになりそう
そんな大工さんの会話を聞きながら、リノベーションが進行していく様子を学びました。
根太の間に断熱材を入れ、コンクリートパネルを敷き詰めると一気に古民家の様子が変わりました。
内装の工事は、これからも進んでいきます。
新たな出会いと共同作業の意義
2022年度も、域学連携を通じてたくさんの学生のみなさんに作業を手伝っていただきました。
また、今年度はその他の出会いも…
株式会社おてつたびが運営する地域の関係人口を創出するマッチングサイト『おてつたび』と、兵庫県、洲本市及びひょうご関係人口案内所が連携した取り組みの場として、古民家のリノベーション作業を行いました。
地域に関心のある若者(主に大学生が中心)が、農業などの季節労働をしながら、今回古民家の改修の地域活動にも参加していただきました。
●古民家の土壁を解体したり、外壁の塗装をしたり、都会ではできないことが体験できてよかった
●古民家の改修に興味があったので、とても勉強になった
大学を休学して、社会に出る前により幅広い経験を得たいと語る若い世代の話を聞いていると、地域側ができること(経験や価値の提供)もまだまだありそうと、学びのある時間でした。
リノベーションが完成した後には、こうした取り組みで関わってくれた若者が再び訪れてくれるような場所にしたいと感じます。
さまざまな人の手を借りて、リノベーション作業も進んできました。
[3CADの空間イメージ)]
[改修中の様子(ボード打ち込み中)]
まだまだやることはたくさんありますが、引き続き竹原の古民家リノベーションプロジェクトをよろしくお願いいたします。
文:小林 力
写真:小林 力